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画家/国本泰英 玖珠に活動拠点を置く25歳は新進気鋭の現代作家。「群像」をテーマに、不必要なものを徹底的に排除した作品は極めてシンプルで斬新かつシュールでユニーク。キャンバスから伝わってくる空気感は、静と動が混在する不思議な魅力があり引き込まれる。「絵描きは食えない時代ではない」と説く若き才能は世界を見据えている。
―いつから画家になりたいと?
小学校低学年の時ですかね。好きだったし得意だったから。たぶん、得意だったから好きになったと思うんですけど、自然に「絵描きさんになりたい」ってちっちゃい時から思ってましたね。それで絵画スクールに中三まで通ってたんですけど、高校で野球部に入っちゃったんで絵を書く時間なくなっちゃって一時期ストップしてた。だけど美大に進みたいとずっと思ってたんで、さすがにちょっと勉強しないとと思って高校三年の時にちょっとだけやったんです。でも、全然勉強不足で東京の美大は落ちて、浪人する気なかったんで滑り止めだった九産大(九州産業大学芸術学部美術学科)に進学しました。それからは、ずっとひとりで描いてましたね。それはそれで、東京の美大に行くよりも変に影響を受けずに制作できたのでよかったです。
―影響された作家はいない?
影響された人はいませんね。大学の環境が僕にとってはよかった。もしかしてちがう大学だったらどの先生に影響されたとか、どの作家さんに会って話して影響されたとか、少なからずともあると思うんですけど、そういうことがあまりなかったので。杉本博司さん、ピータードイグ、サビエ等、好きな作家はたくさんいます。
―モチーフに対してや作品のテーマはありますか?
ここ2年ぐらいはずっと人物を描いてるんですけど、全部身近な動機なんです。僕、バレーボールをやってるんですけど、体育館の隣にプールがあるんですよ。そこのプールに出入りしている子どもたちを見て、僕も昔そこのスクールに通ってたんでなんか懐かしいなと思って、そこから学校の授業の風景とか思い出してモチーフにできないかなっていう、そんななんでもない動機で描いています。相撲はですね、相撲が大好きなんで、それだけの理由です。基本的に好きなものや身近なものをモチーフにしていますが、作品は「群像」というのがひとつのテーマです。ひとりひとりだと個性が立つんだけど、人が群れた時って群衆に見えてしまう。それがひとつのものに見えてしまって個性がだんだん失われていく。そういうことろがテーマのひとつですね。
―そういったところから顔がなかったりシルエット的だったりするわけですね。
そうですね。絵の中の人物の個性を消すというか、個性は必要ない。顔を描いてしまうとそこに意識がいってしまう。そこは、自分の作品に今は必要ないかなと。シルエットを描いているという意識はなくて不必要なものを排除しているという感じです。
―最近の作品は輪郭線が幾重かのトーンが連なってできていますが表現技法の意味は?
もともとのきっかけっていうのがこの作品なんですけど、これを湯布院のアートホールで展示することがあって、その時から人物を始めたんですよ。湯布院のアートホールって湯布院の駅の中にあるので、湯布院の象徴的なものだと思ったんです。そこに展示するのは、何か意味のあるものがいいと考えて、湯布院って一番印象的なのが観光客だったんですよ。すごいいろんな人が来るんですけど、それも群衆であっていろんな人が通るけど、全然どんな人がいたとか記憶には残らなくて、ただ通り過ぎて行くだけ。そういうものを表現したくて、その記憶に残らないなにかぼんやりとした感じを表現するのに、輪郭線をぼやかすという表現を使いました。そこからは、この技法がおもしろいかなと思っていろいろ応用してやっています。きっかけはそういうところです。
―オーダーでも描かれていますが難しくないですか?
人と一緒にやるのは難しいなと思いますね。納期が短かったり、モチーフを指定されたりとか自由がきかない部分があって大変ですが、それも新しい経験になりますし、なにか次に繋がるかなって思ってます。
―画家って食べていけますか?
絵描きは食えないという時代ではない。絵描きは食えないって考え方は古くて、世界規模で見たら活躍されている人はいくらでもいるし、日本でだけ見てもたくさんいる。視野を広げてみればいくらでもチャンスは転がっていると思います。もちろんその中から、縁があったりタイミングがあったり、そういうのはあるとは思いますけど。今はもう職業としての画家が全然普通に成り立ちます。今、僕が出品させていただいているアートフェアなんかも盛んに行われてるんで、海外との交流もやりやすくなってます。なので時代にも助けられて、人にも助けられている。
―今年に入って海外にも出品されていますが世界進出を視野に?
そうですね。この前までボローニャで、4月にドイツ、これはまだ決まってないんですけど5月に台北とか、そこから個展等につながればいいなと期待しつつ、年に数回、国内外のアートフェアに出させていただいています。活動の拠点はどこでもいいんですけど田舎がいいなぁと。
―今後どうしていきたいですか?
モチーフは生活に身近なものっていうところから離れていってもいいかなと。なんかあんまり縛られる必要もない気がしてきたんで、ちょっと今年はガラッと変えたいなと思ってるんです。いい作品を作りたいってことが一番ですけど、制作をやめずに続けていきたい。今、与えられた環境に応えていきたい。

PROFILE

国本泰英
Yasuhide Kunimoto
1984年玖珠町出身の新進気鋭の若手作家。
九州産業大学芸術学部美術学科を卒業後、2006年には福岡市美術展の洋画部門最高賞を受賞し、
美濃・アーティスト・イン・レジデンスに参加。
国内での個展の他に、海外のアートフェアにも積極的に出品している。
「群像」をテーマに、不必要なものを徹底的に排除した作品は極めてシンプルで斬新かつシュールでユニーク。
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