
- ―“ミニシアター”と呼ばれる映画館について教えてください。
- 基本はどんな映画館でもお金を出せばいろんな作品を上映できるんですが、ミニシアターはアート系の映画を中心にこだわりのある映画館っていう感じでしょう か。こだわりがあるということは哲学みたいなものがあるので、各映画館で微妙に上映作品や雰囲気も違いますね。明確な定義はないんですが、共通してるのは いい映画をなんとか届けたいっていうところだと思います。ただいい映画だけどお客さんが入らない映画っていうのも多いので、それだけだとつぶれちゃうんで すよ。本当はいい映画で多くの人に入ってもらって成り立っていきたいんですが、なかなか難しいので、ヒット作も年に何本かできたらなぁというのが今のミニ シアターの現状ですね。

- ―ミニシアターで映画を味わう良さは?
- 想像しないような名作に出会ったり、観たこともないような国の不思議な映画に出会えたりすることですかね。あとはこじんまりしてて、個性的であるがゆえに 各映画館に雰囲気がある。シネコンで味わうアトラクション的な雰囲気とは違って、日常から切り離して違う時間が流れている空間ていうのかな。そういうのが ミニシアターにはありますね。
いい映画だと暗闇の中の空気が違ってくるんですよ。それを体感できる。映画って映写機から出た光りが反射して観る側に戻ってくるので、光りが電子的じゃな い。例えばスペインの町並みが写った映画だとスペインの光りが射してくるんですよ。そうするとカラっとして埃っぽいような空気をなんとなく感じられると思 うんですね。映像や作品の質の良さにもよるんですけど、そういうものに出会える場所だと思います。
あと感動する、笑う、楽しむだけが映画の良さじゃなくて、悲しむ、苦しむ、痛い、辛い、怒るとかそういうのもエンターテインメントだと思うんですよ。こん なにきついことがあって、今の自分と重ね合わせたりできたりすれば、それはそれで面白いと思います。特にシネマ5の映画は笑えるものが少ないっていうのも あるんですけど。国、人、人種によって本当にたくさんいろんなことが起こっていて、大分にいるだけでは分からないことも映画で観るだけでなく感じることが できたりする。それはある意味ミニシアターの良さかなと思います。

- ―シネマ5ならではの映画の楽しみ方は?
- 以前、一気に4本とか上映するフィルムマラソンをしてたんです。寒いと何か欲しい、長時間だとお尻が痛くなる。それでブランケットと手作りのクッションを 用意しました。夏も冬も空調の調整はしますけど、万人が気持ちいい状態にはなかなかなれないので、ブランケットやクッションを使ってそれぞれで調整しても らえたらなと。
あとシネマ5は食べ物の持ち込みができるんですよ。節度を持ったもので持ち込んでも大丈夫です。それでおしぼりも用意しました。ひっそりと食べながら飲み ながら映画を観れたら楽しいので、よほど問題が出ない限りは削るつもりがないです。ありがたいことにお客さんがマナーを守ってくれる方が多いのでできてま すね。ワインのミニボトルや瓶ビールを持ってきて飲みながら観るって人もいますし、お弁当食べてる人もいますよ。
- ―上映作品はバラエティーに富んだラインナップですが、作品選びについて
教えてください。 - 上映作品は支配人が決めます。ある程度その時期に公開されてるものの中からになります。その中でこれだけは押さえておかなきゃいけない監督とか、試写で観 て「これはいい映画だからなんとしてもする」て決めたりとか。支配人と話をして上映のスケジュールを立てていくんですが、基本は「できる限りお客さんを裏 切りたいよね」っていうのがあります(笑)。例えば、心温まるいい映画を何ヶ月間に渡って上映したりすると、次に「こんな辛い現実があるのか」っていうよ うな作品をぽこっと入れてみたりとか。

- ―大西さんご自身が映画業界に携わるようになったきっかけは?
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シネマ5にはよく映画を観に行ってたんですよ。で支配人とは知り合いで映画の話を聞いたりしていて。たまたま仕事を辞めてふらふらしてる時期があって、そのとき人が足りないから3ヶ月だけでもいいから手伝ってって言われて、アルバイトに来たのがきっかけです。それまでデスクワークの仕事しかしてないから、接客業できるかな、何かをお薦めするとかできるかなって心配だったんですが、「できるんじゃないの」って簡単に言われたので、「その程度でいいんだったらいいですよ」って感じで。それから始まって今、13年目です。
映画は普通に好きですって程度だったんです。映画に携わろうとは思ってなかったんですが、ここで働く前はあの映画良かったよってよく言ってたんですよ。友達に「どんな映画観に行ったらいいと思う?」とか聞かれてて、「こんな感じの、楽しいの」とか希望を聞いて、「じゃ、今シネマ5でやってる映画がいいから」っていう風に。その頃と同じことやってるんですよ。変わらないんです(笑)。

- ―映画館での大西さんの仕事とは?
- 受付けと映写と宣伝かな。宣伝は営業みたいなことですね。あとは宣伝企画を考える。パネル展や映画をどうやって広めるかってところでコラボ企画を考えたり。映画の内容によって伝え方を変えて、より観たいという人に届けるためにはどうすればいいかって常に考えてますね。
- ―まさにピッタリの仕事ですね。
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やりたくないことをやらされてるわけではないので、幸せだなぁとは思います。「やりたいことをやりたいんです」って言う人がよくいるんですけど、やりたいことって、やり続けていくと境界線が薄くなって意外とやりたいことに近かったりするんじゃないかと思ってるんです。「今がしたいことですか?」って聞かれたら「はい」って言えないんですけど、「じゃ、したくないんですか?」って聞かれると「そうでもないな」って。長く続いてるからとりあえずは“やりたくないこと”ではないんじゃないかなって思ってるんです(笑)。
私の場合は、面白い映画ありきなんですよ。映画が面白くなくなったらたぶんやらなくなる。映画が面白いから面白いのを伝えたい。私自身も映画に助けられてるんです。もうちょっとがんばってみろって映画に言ってもらったり。映画に助けらてる間はこの仕事をするのかなあと思ってます。
- ―現在募集中の「チネ・ヴィータ メンバーズ」って何ですか?
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ヴィンテージ・スタンダード・シニアの3種類あって、会員になると通常より安い料金で映画が観れて、ほぼ毎月映画の情報を受け取れます。会員になると会員手帳を渡すんですね。それが会員の証明になるんですが、自分が観た作品の前売りの半券を記念に貼っていってコレクトできるようになってるんです。それを埋めるのも楽しい。普段は気にも留めないような映画も、コメントが付いたスケジュールの案内が届くことで、「じゃ観てみるか」っていつもより観る気を10%くらいあげてくれる。でたまたま観たとして、自分があまり見たことがない国、雰囲気の映画なんだけど、すごく好きだということに気が付くこともある。そのきっかけを普通の情報よりも強めてくれるのがこの会員だと思うんですよ。
自分はこういう映画が苦手って思い込んでるもので、たまたま観てみたら逆に好きだったっていうことがあるんです。でも料金も高くて、誰にも誘われなくて、自分が動くかっていうと動かない。そういうときにこの会員があると「ちょっと観てみようかな」っていう気になることもある。特にシネマ5の映画は“観たこともないような映画”っていうのがそれなりにあるので。観たことのない映画でやっぱり嫌いだったとしても、ひとつ何かを感じ取ったという意味ではいい映画体験という風に思います。これはチラシにはどこにも書いていない特典だと私は思っています(笑)。観ない映画の中に新しい発見があったりすることもあるので、入会したことがきっかけで、それに出会うこともあるかと思います。
チネ・ヴィータ メンバーズ
(2009年12月2日~2010年2月28日)までの期間限定で会員募集中。
詳細はこちら→シネマ5公式HP http://www.cinema5.gr.jp/


- ―今後の目標は?
- 映画館の仕事してる人って、いつかは自分の映画が撮りたい、自分の映画館を持ちたいといった夢を持ってる人が多いんですけど、私はそういうの全然思わないんですよね(笑)。素晴らしい作品に出会いたいっていうのは常にあるんですよ。でそういう“素晴らしい作品に出会ったら人生が輝く”というようなその作品にピッタリの人に出会わせたいといつも思っていて、先々もそうなんです。自分自身がどうなりたいとかはあまり思ってなくて、その人に合った素晴らしい映画にその人が出会って人生のヒントみたいなものに気付けたらいいなと。

- 大西 明美
- Akemi Oonishi
- 映画業界に携わって12年。
過去に「ぴあフィルムフェスティバル」の実行委員として大分での開催をプロデュース。
http://www.cinema5.gr.jp/ 














